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2019.08.03

南区骨粗鬆症リエゾンサービス研究会の第4回講演会が開催されました。
6月21日in九州中央病院

当会の目的:福岡市南区及び近郊の骨粗鬆症による寝たきりを多職種で防止する会

講演1.内服時の留意点 九州中央病院リハビリテーション科 金城亜紀医長 

内容)ビスホスホネート製剤等による顎骨壊死の防止には医科歯科連携が重要である。

講演2.骨卒中予防  鳥取大学医学部保健学科の萩野浩教授 

内容)高齢者骨粗鬆症の脆弱骨折(いつのまにか骨折)は、若年者が経験するいわゆる「骨折」とは全く異なり、ADL・QOLを引き下げている。骨折後の死亡リスクは、大腿骨頸部骨折では6.7倍、脊椎骨折では8.6倍となり、生命予後を脅かしている。その観点からは脳卒中と同様に「骨卒中」として、その危険性を世に啓発する必要が大である。

推奨する治療薬は、ガイドラインから
①ビスホスホネート
②SERM
③抗RANKL交代
④テリパラチド
⑤活性ビタミンD
の5剤からの選択であるが、顎骨壊死については、薬剤を必ずしも休止する必要はなく、重要なのは歯の衛生状態を徹底することである。

南区骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)研究会とは 

代表世話人 藤田整形外科医院 藤田芳憲

2025年の福岡市の75歳以上の後期高齢者は2010年の1.9倍になり、その後も増加していて行くなかで、特に南区は高齢化傾向が顕著です。その対策として地域医療構想や地域包括ケアシステム構築が進んでいますが、在宅医療の充実はそれらの成功の極めて重要な鍵を握っています。医療機関に来院できなくなって寝たきりになる主な原因の一つは高齢者の骨折ですが、その増加の背景には骨粗鬆症が存在します。地域における骨粗鬆症診療の充実は、そのまま在宅患者の絶対数を減らすことに繋がります。
南区医師会では、骨粗鬆症による骨折の2次予防や在宅医療を支援する目的から、地域の骨粗鬆症診療における病診連携、診診連携、多職種連携の充実をはかるために、平成29年に以下の世話人の先生方と共に当研究会を立ち上げました。

平成29年3月6日に第1回世話人会が発足し、当時南区医師会会長の藤田芳憲(現代表世話人)、九州中央病院から有薗剛副院長兼整形外科部長、福岡赤十字病院から泊真二副院長兼整形外科部長、福岡臨床整形外科医会から久賀養一郎副会長、南区内科医会から原博文副会長の世話人構成で始めましたが、第2回からは南区医師会病院部会から福岡整形外科病院の松田秀策医長も加わり、平成30年度からは松岡正樹現南区医師会会長が顧問に就任し7人で運営しています。
平成29年11月22日のキックオフ講演会から平成31年6月の第4回講演会まで、1回当り100人前後の多職種の参加者が集まり、徐々に南区及び周辺地域の骨粗鬆症診療のボトムアップが進んでいます。